一般国民と上級国民
2020年東京オリンピック組織委員会事務総長、武藤俊郎は言葉を選ぶべきだった。
一般国民のせいで、俺ら専門家が選んだエンブレムのデザインが取り消されることになった、などと会見の場で言ってはならなかった。佐野研二郎デザインが取り消しになったという事実だけを伝えれば良かったのだ。審査委員の本音を世間にそのまま伝えてしまった武藤俊郎の会見は、取り返しのつかないミスである。
案の定、ネットは大荒れである。「一般国民」の対義語として「上級国民」なる言葉までも生み出されてしまった。
「一般国民」に対しては、成果主義・能力主義と称して給料カットしておきながら、「上級国民」の面々はコネで仕事をまわしあい、評価を高めて利権を囲う現代日本の歪んだ構図。
国民がオリンピックで一つにまとまるという、高度成長期の神話よもう一度な、老害の幻想が早めに打ち砕かれたことだけが救いである。